ご挨拶

 わが国人口の高齢化はますます進み、世界各国が未だ経験したことのないスピードと規模で超高齢社会に突入しております。また、当然のことながら高齢者の有病率は極めて高いため、高齢者の3分の2近くが病院へ通院しているとの統計結果が厚生労働省から発表されております。このような情勢のもと、高齢者をめぐる保健・医療の問題が社会的に大きくとらえられ、国民が叡知を結集して対応すべき喫緊の課題とされております。

 高齢者ではがんなどの悪性疾患や関節の変形、骨折などの外傷の罹患率が増加し、手術を受ける頻度が高くなります。しかも高齢者では共存症が増加するため、周術期の全身管理に難渋する症例が飛躍的に増加していくこともよく知られた事実です。しかし、若年者であれば手術後に元通りの生活を送る可能性も高いのですが、高齢者では術後に認知機能低下やせん妄などの合併症発生率が増加するため、元通りの生活を送ることは難しくなるのが現状です。その原因として手術ストレスや麻酔薬の影響が考えられていますが、その機序や予防法など、まだまだ分からないことが山積しております。

 日本老年麻酔学会は、高齢者に対する麻酔の進歩と普及を図り、手術を受けられる高齢者がより良い周術期を送れるよう、教育研究を行うことを目的に発足しております。これまでに24回の学術集会が開催され、数多くの研究発表が行われてきました。今後とも日本の叡智を結集し、高齢者医療の発展に寄与して参りたいと考えておりますので、数多くの皆様のご参集をお願いする次第です。

日本老年麻酔学会
事務局長 土田 英昭